前回の特集では、「原木市場」についてお伝えしました。
今回は「原木をカットする帯鋸盤(おびのこばん)」についてお伝えしたいと思います。
原木市場から仕入れた丸太は、一度製材所の材木置場に置かれます。
その後必要に応じ、カットされる工程に移るのですが、そこで活躍するのが
「送材車」と「帯鋸盤(おびのこばん)」と呼ばれる機械になります。
原木市場から仕入れた状態の木は非常に重く、とても人の手で運べるような重さではありません。
そこで、この機械を使って人が運べる状態まで木をカットしていきます。
この台を「送材車」と呼びます。
送材車は2つのレールの上を滑車が走るように設計されており、電動で前後に動きます。
非常に大きなチェーンが特徴ですが、
この上を丸太が動いていきます。
また滑車の部分は丸太を固定するだけでなく、
回転させたり、材の幅を測ったりすることができる機能がついています。
帯鋸盤(おびのこばん)の作りは非常にシンプルなものではあるんですが、
円を中心に長さ7.5mのノコギリの刃が高速で回転しています。
何度も何度も木をカットしていきますので、1日に3〜4回は刃を替えることとなります。
刃を変えずにそのまま使用すると、木の表面に傷がつきやすくなったりしますので、
刃が悪くなる前に新しい刃へと変えています。
「送材車」や帯鋸盤(おびのこばん)がどのようなものかは、ご理解いただけたと思いますが、
この機械を扱っている人は、熟練の技術者になります。
と言うのも、木はまっすぐ伸びているように見えても曲がっていたり、反っていたりしています。
何も考えずにカットしていくと、無駄な切れ端が多くなり、商品化できない部分が増えてきます。
なるべく1本の丸太から効率よく材を取り出さないとロスになるので、よく考えてから製材をしないといけません。
効率よく材を取ることを「歩留まり」といいます。
目盛りを見ながら木の幅、
切る位置などを調整していきます。
非常に年季の入った機械のため、
目盛りはアナログ表示なんです。
歩留まりを良くするには、木を見て中の
「木目模様」がどうなっているかを予測しないといけません。必要な材と取れる材のバランスを考えて寸法や場所を決めます。
熟練者はその他にも下記のようなことを送材車に載せると同時に判断をし、
丸太をカットしていっています。
・木の曲がり具合
・節の位置
・年輪の綺麗さ
・木の色
・ノコの刃の幅
このようなことを判断することを「木取り(きどり)」と言います。
一瞬で歩留まりと木取りを判断するにはそれ相応の経験と木に対する知識が必要です。
瞬時に判断ができるようになるまでには5〜6年の経験が必要と言われています。